メディテーション(瞑想)の効果とやり方について探ってみよう

マインドフルネス メディテーション(瞑想)の効果とやり方について探ってみよう

昨今、ヨガブームとともに世界的に瞑想に対する注目度が高まっていますね。

スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツといった名だたるビジネスエリートが瞑想の実践者として知られる他に、米Googleなどの有名企業が研修プログラムに瞑想を導入しはじめたことからも、その効果への期待値がわかります。

こういった世界的な流れは、瞑想に対して宗教的なイメージを抱いていた人にとっても、その本当の効果を知るきっかけとなっています。

日々忙しい現代人にとって有効な思考のコントロール法となり得る瞑想、近年ではその脳に対する効果も少しずつ明らかになってきているようです。

ヨガとも密接に関わるメディテーションについて、やり方や効果など探ってみましょう。

目次


1. 瞑想(メディテーション)とは?

瞑想 メディテーションとは

瞑想とひとことに言っても、具体的にどうすれば良いか分からないという人も多いのではないでしょうか。

実は瞑想法はヨガや仏教の経典に基づく古いものから、その流れを汲んで現代向けに変化したものまでなんと500種類以上もあるのです!

方法は座禅や臥位で静かに内観するものから、身体を動かして行うもの、マントラ(=言葉)を使ったもの、音や香りなど五感を使いながら行う物など多岐にわたります。そして瞑想の深さによって段階も変わりますので、各々に合ったレベルの瞑想を続ける事が大切。

どんな瞑想法でも自分と向き合い、感情をリセットさせ、思考をクリアにするという基本的な目的は変わりません。

毎日の中で少しの時間でいいから、忙しさを一旦手放して、日常の中に心を留める瞬間を作ることから始めて見ましょう。

 

1-1.瞑想のやり方と効果

瞑想は心を無にしなければ出来ないわけではありません。そもそも、瞑想で感情や雑念を消し去るのは相当鍛錬を積まなければ到達できるレベルではないのです。多くの人が心を無に出来ないことで瞑想をあきらめてしまうのは非常にもったいないことです。

近年の研究では瞑想が脳に作用し不安感を軽減したり、ストレス耐性を養うことが分かってきました。


マサチューセッツ総合病院(MGH)のハーバード提携研究者率いるチームの研究によると、8週間の継続的な瞑想で脳の構造が目に見えて変化したことが報告されています。その瞑想プログラムではマインドフルネス(=今この瞬間に起こっている経験に意識を集中する)を取り入れ、参加者は平均27分間の瞑想を1日1回、週に6日行い、8週間が経過した後の脳の状態を研究チームが精密に検査しました。

その結果、8週間の瞑想を体験した脳は、プログラムの実行前よりも、記憶や自己意識、同情心、考察などの活動に関係している海馬(hippocampus)の灰白質(gray matter)密度が高まっていることがわかりました。

また、参加者のうち瞑想を始めてからストレスが低減したと報告している者の脳では、扁桃体の部分の灰白質密度の減少が見られました。扁桃体は不安とストレスの中心的役割を担っているといわれ、この部分の灰白質密度が低くなっているということは、不安やストレスが抑制されていると考えられます。(*1)


次の項ではどんな瞑想にも共通する始めの段階、マインドフルネスについて探っていきましょう。


2.マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは今現在において起こっている経験に全意識を集中することであり、感覚や物事に注意を向ける能力を発達させるプロセスを含んでいます。マインドフルネスを繰り返し、慣れていく事で不安の連鎖を打ち切り、ストレスや薬物依存などの精神疾患にも効果があると言われています。(*2) 

マインドフルネスの過程では今この瞬間の体験や自分の中に起こる感情を評価せずに、とらわれの無い状態でただ観ることがとても重要です。

2-1.呼吸を感じるマインドフルネス

例えば誰しもが行いやすい練習として、最も行い易いものは呼吸を感じるマインドフルネスです。安定した座位の状態で、目を閉じて、空気が出たり入ったりする鼻孔の感覚に全意識を集中するというもの。その際に色々な思考が生まれてきますが、思考に引っ張られて意識がさまよい出したらまた意識を鼻孔の感覚に戻します。

自分の中に生まれた思考を良い、悪い、と評価せずに、ただただ受け流して呼吸の感覚へ心を向けてみましょう。慣れるごとに心がさまよう事にすぐに気がつくようになり、その結果マインドフルネスの状態が長く続くようになります。

2-2.各部位へと意識を向ける(ボディスキャン)

身体の各部位へ順番に意識を向けながら、その感覚を丁寧に感じ取っていくマインドフルネスの方法をボディスキャンといいます。

楽に座った状態や仰向けの状態で、目を閉じましょう。全身の余分な力を抜き、例えば右目→左目→右手指先→左手指先→右腕→左腕・・・というように進めていき、ときにはその部位に力を入れたり、少し動かしたりもしつつその部位の感覚へと全意識を集中させていきます。頭からつま先まで一通り終わったら、今度は身体の中心にむけて息を吸い込み、吸い込んだ新鮮な空気が全身の隅々、指先まで巡っていくようにイメージしてみましょう。

ボディスキャンは身体の微細な感覚を丁寧に感じ取ることで精神を統一しやすく、イライラや焦り、不安を解消する方法としても適しています。リラックス効果も高いので、質の良い睡眠への導入として就寝前に行うのもオススメです。


3.より良いメディテーションをするためのコツ

瞑想 のやり方

メディテーションは必ずしも静かな環境でなければ行えないわけではありません。マインドフルネスなどはその良い例で、いかなる時でも「今この瞬間」に意識を集中するだけでも忙しく動く心の働き止める、或は穏やかにするなどの効果が期待出来ます。

更にその先、もう一歩深く自分自身を内観するために行う場合はなるべく余計な雑念や他事に心を引っ張られないように状況を整えると良いでしょう。

○環境を整える
部屋は気持ちのよい程度に片付けすっきりとした空間を作りましょう。周りの環境はなるべく静かに整え、光は明るすぎず、スマホなど外界と繋がりの強い物は一旦目に入らない所に置くと良いですね。
インターホンや着信音など、突然大きな音が鳴らないようにしておくことも、瞑想を中断しないためには大切です。
○衣服はゆったりと
なるべく着心地、居心地の良い衣服を選びましょう。肌触りも柔らかく心地よいものがベスト。暑すぎたり寒すぎたりしないように出来るだけ季節に合ったものを選んで。
○鼻の通りを良くしておく
もし風邪気味などで鼻の通りが悪いと呼吸がしにくく、集中し辛くなります。できれば鼻うがいやミント、ユーカリなどのアロマを使ったりして、鼻の通りを良くしておきましょう。※鼻が詰まっていると瞑想出来ないという訳ではありません。
○音楽や楽器を使う
静かな環境で行ってももちろん良いのですが、気にならない落ち着く音楽をかけてみても良いでしょう。あるいはシンギングボールやティンシャなどの楽器を使ってその音の余韻を丁寧に感じ取りながら集中状態に入っていくのもスムーズな方法です。
○アロマを使う
嗅覚も精神に大きく影響する五感のひとつです。精油の中にはリラックス効果だけでなく集中力を高めたり、呼吸を楽にする効果があるものもあります。また、嗅覚が伝わる脳の嗅覚野は記憶を司る海馬にも影響が大きいので、瞑想時にいつも同じ香りを使っていると自然とその香りを嗅いだだけで集中状態に入り易くなります。
自分が気に入った香りをうまく使って瞑想の空間作りに役立ててみてください。

4.ときにはこわいことも!?メディテーションのダークサイド

瞑想は深まれば過去のトラウマすら解消するほど精神への効果が高い行いです。ですが、そこまで深められない場合に、心の奥にあったトラウマや嫌な記憶、不安感などが表面化して精神的に逆に不安定になることも実はあります。これはメディテーションのダークサイドと言えるかもしれません。

ですので、精神的に調子の悪い時、特に不安等に目を向けてしまいがちな時などは、呼吸でリラックスする程度に留めておく方が無難です。

もし瞑想中にダークサイドへ引っ張られてしまっても、そのトラウマなどが自分の中から消えるために解け出てきていると考えましょう。そしてそんなときこそ、マインドフルネスを忘れずに。

呼吸を意識し、感覚も使って心の働きを止めて、その体験を評価せずにただ眺めてみましょう。

瞑想で一時的にダークサイドを目の当たりにする事があっても、トラウマを解消したより良い自分へと目を向けて少しずつ瞑想を繰り返す事で、安定した心へと整っていきます。


自分を許すことが大切

もし忘れていたトラウマや嫌な記憶を思い出したら、それを体験し耐えた自分をほめてあげましょう。それによってマイナスな感情はプラスへと変換できます。過去の罪への罪悪感があれば、自分を許す心を持つ事も大切です。


★瞑想中に雑念や激情に飲まれそうになっても、それで自分を責めるのではなく、まずはそんな自分を受け入れるようコントロールしてみましょう。その都度マインドフルネスを行う事で、徐々に瞑想を深める術が身に付いてきます。


5.眠りの瞑想 ヨガニードラについて

5-1.ヨガニードラとは

ニードラとは、サンスクリット語で「眠り」を表す言葉です。その名の通り仰向けに寝た状態、シャバーサナ(屍のポーズ)の体勢で行います。身体を使いその感覚を使って心にも意識を向けていく一般のハタヨガと比べ、ヨガ・ニードラはもう少し瞑想の要素が強く、直接マインドに働きかけていきます。

寝そべったまま行うので、一見ただ寝ているようにも見えるヨガ・ニードラ。でも実は、ヨガ・ニードラを行っている最中はただ寝ているよりももっと深い休息状態にありながら、自分の本体とも言える潜在意識に近づいている、とても特殊な状態なのです。


5-2.ヨガニードラのやり方と効果

基本的にはヨガ・ニードラは誘導者の声を聞きながら、身体の感覚やイメージングをすることで自己を解放していくのですが、慣れてくれば自分でやることも可能です。

初めて行う場合や慣れていない場合も含め、基本的にはスタジオのヨガ・ニードラのクラスで誘導者の元で行うか、ヨガ・ニードラのCDやアプリケーションを使い、やってみましょう。

例えばこんなアプリ:

瞑想 アプリ ヨガメドラ

自分で行う場合は、まずは基本のボディスキャンを行います。細かく身体の各部位に意識を集中しながら、緊張と弛緩を繰り返していくことで、身体は深くリラックスし、感情の波が消えていきます。

ボディ・スキャンで丁寧に全身弛緩を行ったら、自然界の美しい景色や幸せなシチュエーションなど、視覚的に心に思い描くイメージングをしていきましょう。

イメージングを行う事で自分の幸せや理想を感覚的にイメージする事ができ、心理的にも深くリラックスすることができます。

瞑想 メディテーションとは

アファーメーションで理想の自分へ

アファーメーションとは、ポジティブな言葉を使った自己暗示や意思表明のことです。自分に対して自分はこうなる、こうである、というように理想像が実現しているかのように宣言することで、潜在意識に働きかけ、セルフイメージを高めます。

ただ宣言するだけで本当にセルフイメージが高まるのか?と疑われる方もいるかもしれませんが、実は言葉のイメージが脳に及ぼす影響はとても大きく、自分の脳に理想を言い聞かせる事は成功の第一歩として欠かせないことが分かっています。


ヨガ・ニードラでは心身を丁寧に弛緩させた後に「サンカルパを唱える」という段階に入っていきます。「サンカルパ」とは、サンスクリット語で「決意する」「誓う」と言った意味合いの言葉であり、簡潔でポジティブな言葉で、なりたい自分や、どうしたいかを心で唱える事で潜在意識にもその祈りを刻み込んでいくのです。


ヨガ・ニードラを繰り返し行う事でサンカルパの祈りはどんどん心の核に響き、根付いていき、理想の自分を実現するための基礎が固まっていくことでしょう。



6.瞑想についてのまとめ

瞑想まとめ

いかがでしたか?瞑想は決して難しいものではなく、段階によっては誰でも行う事ができます。また、繰り返すごとに瞑想を深める術が身に付いていくので、続けるごとに心の安定を感じられるでしょう。

瞑想の技術が高まる事は、すなわち日常生活での感情のコントロール力が高まる事を意味します。瞑想は幸せな毎日を送るための有効な心の訓練なのです。

プロフィール

Guest Blogger:よがくらげ 雅子
ヨガインストラクター 、三児の母

長年ヨガを続ける母の影響で学生時代に軽い気持ちでヨガを始める。
身体のために細々と続けていたが、続けるごとに精神的にもヨガの大きな効果を感じ、より深くヨガを学び伝えるべくインストラクターとしての活動を開始。

スタジオやフィットネスクラブ、サークルなどで幅広いクラスを担当。
ブログ:YOGAKURAGE 力を抜いて 流れに乗って



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